『星糞』
谷口智行
第三句集『星糞』
俳人協会会員
「運河」副主宰兼編集長
定価:2800円+税
邑書林
ふんだんに星糞浴びて秋津島 谷口智行
句集名はここから来ている。FBで知り合ったフツーのおっさんへ句集を送っていただきびっくりでした。「星糞」という俳味あふれる季語この句集以降使えないかもしれないのではないかと危惧しています。令和の今は新型コロナウイルスが世界にふんだんに浴びせている。それにしても太古からどれだけの流星と隕石がこの星に降り注いだことだろう。
朧夜の波打際のやうな路地
揉みくだくとき空蟬のこゑ混じる
ありあはせなれどもといふ鹿の肉
竹伐りてゐるらし山の揺れゐるは
氷らざる日向の水の冷たさよ
雉追へり王朝びとにあらねども
滝口ははるけき壺を睨(ね)むるなり
長き夜の夢にふることぶみのこと
蔓荊(はまごう)の実や潮けぶり砂ぼこり
神ときに草をよそほふ冬の月
「潮けぶり」はFBで写真を見せていただいたものの実際に目で見、肌で感じたいもの。句集全体がなんといっても王朝人のような大人の俳句に無理が無く卒がなく驚かされるばかり。谷口さんの目、耳、鼻、足がぞんぶんに駆け回った熊野巡りの集大成の句集だ。もちろんまだまだ旅は続くのだけれど。拝読の機会を与えていただき感謝いたします。
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